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エルピーダメモリ倒産の理由を財務諸表から読み取る-倒産企業分析 - 怠け者専用!マイペース個人経営ヒント集

エルピーダメモリ倒産の理由を財務諸表から読み取る-倒産企業分析



”エルピーダメモリ倒産の理由”


ご訪問頂き、ありがとうございます。簡単管理インストラクターを目指すにわか会計人のヤグナです。

さて、今回は倒産企業の決算書分析第二弾をやってみたいと思います。ちなみに前回はJALを分析しましたね!


倒産した企業の決算書から、倒産前どういう状態にあったかや、倒産に至る兆候、サイクルを確認し、倒産企業の特徴を明らかにするのがこのシリーズの目的です。


ドイツのかつての宰相ビスマルクがこんな言葉を残しています。
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
結構好きな言葉ですが、実践するのは難しいんですよね!


しかし、倒産という事象に限っては経験してからじゃあ遅いので是非歴史に学んでいただきたいと思います。



目次
1.元エルピーダメモリ(株)の概要確認
2.倒産理由を財務諸表から読み取る
3.教訓






1.元エルピーダメモリ(株)の概要確認


DRAMの開発・設計・製造・販売を事業とする会社。日本唯一のDRAM専業メーカーでした。しかし、円高など外部環境も合間って業績不振が続き、2012年2月27日に会社更生法の申請を行い、事実上倒産しました。


エルピーダメモリの倒産は負債総額約4500億の戦後最大の製造業倒産案件となりました。なぜ、日の丸を背負ったDRAM製造業は倒産してしまったのか、財務諸表から理由を探ってみましょう!




2.倒産理由を財務諸表から読み取る


さて、実際にエルピーダメモリの倒産前の財務状況を確認してみましょう。なお、一番右の列が2012年12月の倒産前最後の四半期報告書です。



○キャッシュフロー計算書

エルピーダCF
毎年100億近くの投資CFが必要になっています。一方で、投資CFを営業CFでまかなえていない年がほとんどになっているのがわかりますね。これはエルピーダメモリが自社の儲ける力(営業CF)で毎年の投資をカバーできていないことを示しています

こうなると、足りない分は財務CF(内部、外部からの資金調達)でまかなうしかありません。この財務CFは返済や調達限度があるので、打ち出の小槌ではないのです。

儲けで投資をカバーできないエルピーダメモリの構造的な問題が確認できます



○損益計算書

エルピーダPL
売上高を見ると毎年増減が激しくなっていることがわかります。一方で売上原価を見ると安定的に高くなっていて、売上が下がるとすぐに赤字になる構造になっているのがわかります。

安定的に利益が出せない経営状態だということが確認できますね。



○貸借対照表

エルピーダBS
利益剰余金という項目は過去の利益の積み立てです。そこそこの歴史のある会社なら、利益剰余金の項目がマイナスの場合、一時的ではなく利益が出せなくなっているということです。エルピーダメモリでは2009年3月期から利益剰余金マイナスの状況が多くなっています

利益剰余金のマイナスはすぐに倒産を意味しませんが、資金調達に大きな影響を及ぼします。まぁ利益を出せないのが当たり前な会社に見えますから当然です。普段から資金調達に頼るしかない当社にとっては大問題です。

結果として、外部からの調達は難しくなり、倒産直前は普通の社債や長期借入金は減少し、新株予約権付社債や資本注入で対応せざるをえない状況になっていたのではないかと思われます。命づなである財務CFによる資金確保が難しくなっていたわけです。




○まとめ

以上、3つの財務諸表を見るとエルピーダメモリが倒産したストーリーが見えてきました。

利益があがらず債務超過が続き、財務CFでの資金調達は難しくなった。一方で投資はしなければならず、さらに長期借入と社債の返済は待ったなし・・・あとは営業CFだけが頼みの綱というところで、売上の大幅減。資金ショートとなったのでしょう。





3.教訓


さて、エルピーダメモリの倒産から読み取ることができる教訓はなんでしょうか。まとめてみましょう!


(1)必要な利益を安定的に稼ぎ出す
利益は十分条件ではありませんが、必要条件です。営業CFの原資になるので、キャッシュフロー経営上も最重要なんです。


(2)営業CFで投資CFをまかなえる状態にする
土台として営業CFが毎年安定的に出せる必要があります。営業CFが安定しない場合、至急経営改善を図る必要があります。


(3)財務CFに依存しない
営業CFで必要なキャッシュを出しきれず、財務CFに頼るようになるとその状態が普通になります。それが一番やっかいです。外部環境が悪くなると一発で倒産の危機に陥りますし、それを外部環境のせいにするようになります・・・



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コメント
非公開コメント

No title

よく記事を読ませていただいております。
ちょっとお聞きしたいのですが、エルピーダメモリが債務超過(に近いを含む)だったということですが、定義は、利益剰余金がマイナスだったということでよろしいですか?
「債務超過」という用語が、論者によって説明の仕方が違うことが多いので、ちょっと気になりまして。

2015-01-20 20:32 from 小林友昭

Re: No title

コメントいただきありがとうございます。
小林様のおっしゃるとおり、正確には債務超過とはいえませんね。
純資産の部全体でマイナスの場合に使うのが正式な使い方かと思います。

利益剰余金がマイナスのケースに良い呼び方があればいいのですが・・・
ただ、無駄に誤解を与えることは避けたいので、修正をさせていただきます。
ありがとうございました!

2015-01-20 20:59 from yaguna

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